美は1日にしてならず


by miliardaria
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『 隠居の日向ぼっこ 』 杉浦日向子

杉浦日向子 『 隠居の日向ぼっこ 』  新潮文庫 2008年

f0052756_0185492.gif春夏秋冬の項ごとに、江戸又は著者の幼少期に使われた" 物 " をお題にしたエッセイ集。

浮世絵、はこぜん、根付け、お歯黒、ひごのかみ、雑巾、ゆたんぽ、箱枕といった各お題は、挿絵を含め1.5ページに簡潔に綴られている。お題の解説に著者の思い出が織り交ぜられ、江戸と昭和のコラボが懐かしく温かい。

著者の没後に単行本として出版された作品で、使われている挿絵は、これまでの著書からとってきたもの。幼少時代の思い出とライフワークだった江戸、杉浦日向子の最後の作品としてなんとなくしんみり読んでしまった。内容的にはまったく暗くないので、先入観のせいだと思うけど。

生を受けて間もない命をくるむねんねこは、新旧の、途切れることのない永遠の時を、そっと包み、はぐくむ、あたたかい、祈りのベールのように思える。(秋 「ねんねこ」)

裸同士隣り合った老若男女。歩み出す未来、積み重ねた人生。人はホモサピエンスという、種のひとつとして、この世にあるんだ、自分もまたその中の一個の命なんだと感じてしまう。(秋 「湯屋」)

46歳で早世した著者だけに、このフレーズが胸に深く残った。

江戸の風物を知る本としても、とても分かりやすくい。
ただ、お題のいくつかに、現代と江戸時代を比較した現代批判ぽいコメントがつけられていて、言い当ててるんだけど、興ざめする構成(こういうのが当時の流行だったような気もする。)。そこが残念。

《桃評》
 ★★★★☆
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by miliardaria | 2008-05-22 00:19